我が家のペット事情 その2

前回の続きです。

変な切り方に思えるかもしれませんが、ここからはいぬを飼いたいを叶えた母の新たな野望について、最新の情報なので、という切り替えです。

 

今年、ポッキーが我が家に来て5年経ち、私は社会人、弟は大学生になりました。

私はすっかりおとなになったのにまだまだ末っ子のポッキーが居る家で半分ほど在宅ワークをして、仕事が終わった瞬間一緒に寝て暮らしています。

長女で臆病かつ甘え下手な私は、ポッキーのおかげでどうぶつ不信もいくらか良くなり、人に頼ることもだいぶ克服しました。

が、相変わらずいぬなら誰でもいいというわけではなく、あくまで家族なのでポッキーが最愛で、いぬ好きとは言えないのが事実です。

 

少し逸れますが、私は子どもに対しても同じ考えで、知り合いの子どもはかわいいけれど、知らない子どもは観察して性格が合えば好き、合わなければ苦手です。

異性なら誰でもいいというわけにいかないのと同じだと思っていますし、逆に同性でもまだ経験がないだけで十分好きになる可能性があると思っています。

好きな色を訊かれたときも、全部の色の中に好みがあるのでひと口に赤、青、黄、などとは答えられないな、と思いながら「うーん、着るなら、落ち着いた色かな」となんとも言えない返しをしてしまいます。

とにかく、ポッキーのこともイチゴのことも、父も母も弟も、恋人や友人についても場合に合わせて個人として対等に向き合っていたいという質なのです。

 

そんな中、いつものように両親が買い物から帰ってイタグレサーチの結果を報告してきました。

娘だからよくわかりますが、いつもよりも明らかにノリ気でした。

イタグレ友だちの中では多頭飼いが多く、母も憧れていましたが、ポッキーの年齢から2匹目をお迎えするには今しかないというタイミングで、ポッキーと色も性別も違う子いぬを見つけてしまったそうでした。

写真を見るととてもかわいくて、ほとんど射抜かれていましたが、私はポッキーがいちばんなので、また反対しました。姉として、下にきょうだいができる寂しさを知っているので、ポッキーが可哀想で仕方ありませんでしたが、ポッキーはほかのイタグレとも温厚に過ごせる質であることはオフ会やドッグランでわかっていること、母のイタグレ友だちがペットロスで立ち直れずに人生が壊れつつあるのを知っていることから、本気なら私とポッキーに面接させてと条件をつけました。

 

結局翌日には父が赴任先へ戻ってしまうので、判断のために私とポッキーも加わってもう一度お店に行きました。

ポッキーが我が家に来た時よりも小さいフォーンの女の子でした。ポッキー同様にあまり人には興味がなさそうで、ほかの子がご飯の匂いに吠える中、声を出さずに必死にアピールだけしていましたが、今し方席替えで隣になった子に「挨拶しなさいよ!」と言わんばかりにしっぽを振るいかにも女児という性格が見て取れました。

ポッキーはというと、吠えあっているなら反対出来ますが、嫉妬してか、目も合わせませんでした。

とりあえず私と仲良くなれそうなタイプか、抱っこさせてもらいましたが、かなりおてんば娘で落ちないとなぜ確信できるのか、ほとんどじっとせず上へ上へ後ろへ後ろへ登ろうとする姿は、かつて我が家にいたハムスターのハナのようでした。

 

ポッキーも私も特段ビビっとも来なければ、かといって何度仲良くしようと試みても馬の合わない知り合いのような嫌な感じもしないというどちらとも取れない第一印象のまま、この末っ子に手を焼いていればしばらくは母も仕事のモチベーションとしても母親としても退屈しないでしょうということでそのまま翌日お迎えする運びとなりました。

 

なぜいつも急に家族を増やしたがるのか、末っ子として育った母のことは理解ができませんが、私はいままで以上にポッキーとイチゴを甘やかして、いつでも味方をしようと決意しました。

 

こうして誰もが容易に予想できるプリッツとして我が家のおてんば末娘となった日、私が仕事から帰宅すると、昨日まで末っ子らしくちゃかちゃかしていたポッキーはおとなしくじっと様子を伺っていました。

 

あいつ、いつまでこの家にいるんだろう。

あそこはもともとおれのケージなんだけどな。

めんこめんこって、おれのことだよな?

そのおもちゃ、遊び方わかんないのか?

こら、新入り、挨拶しろよ。

それ、おれのおもちゃなんだけど!!!!

 

ポッキーの考えていることが手に取るようにわかりました。

いつも母がキッチンで野菜を切ろうとするとおこぼれを貰いに行くのにそれどころではないようで、呼ばれても動きませんでした。

私はプリッツを抱くときには前後で何十倍もポッキーに愛情を注ぎ、理解者であることをアピールしました。

弟も彼なりに、末っ子には目もくれず「俺にはポッキーが待ってるから」とマイペースに部屋に行きます。

 

当の本人たちはというと、ポッキーが「だから、挨拶さえしてくれたら仲良くしてあげないこともないってば!」と言わんばかりに何度も果敢に匂いを嗅ぎに行っては、おてんば娘に足蹴にされて「あいつ、おれの方が上なのに!悔しい!もういや!」と私のところに言いつけにきます。

プリッツからしてみれば、見るもの全部が初めてどころか自分の姿も知らないのにポッキーは同じかたちをしている先輩とかいう常識は通用するわけもなく、「とりあえず痒いんだからなんでも噛みたいし赤ちゃんなんだから構ってよね!」以外何でもないですよね。

 

今日も末っ子育ちの母はポッキーが密かに気に入っていたたい焼きのおもちゃを恐らく鳴らしやすいという理由のみでプリッツに渡して、

プリッツがご機嫌にたい焼きをピーピー鳴らし、

ポッキーが機嫌を損ねて私に言いつけに来たので私は味方として甘やかし、たい焼きをポッキーに返しました。

 

きっと母の姉ならとても共感してくれるでしょう。

末っ子ってほんとやーね。

それ私のなのに!vsまたおさがりじゃん!はいつまでも続くんでしょうね。

分ければいいのに。

from長女